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第二節 聴衆をとらえる法

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一 聴衆に対する法

1 講義の最初の時間が重要

 ある招請を受けて講義をするとき、一番大きな問題は最初どういう言葉を話すかということです。最初の一言が重要なのです。ですから皆さん、最初にどういう話をするかについて考えなければなりません。(二〇―五〇)

 それでたった五分、十分内にどのようにしても聴衆の前に自分の印象を残すことのできるものを準備しなければなりません。この五分から七分、十分内に聴衆が自分の前に傾かなければこの闘いは難しいというのです。

 ですから最初どのようにするのかが問題ですが、全体が関心のある言葉から始めて、もしそれが不可能な時は全然関係なく、ありふれていないあまり知られていない話から始めよというのです。そうして、その言葉に対して何のことかと引っ張られていくようにする、こんな作戦を立て自分の作戦圏内に入れなければ駄目なのです。(六五―二九六)

2 即席で講義しても感動を与えることのできる訓練をしなければ

 先生は今回、米国のニューヨークのリンカーン・センターから始めて、ワシントンを経てここまで来ながら、原稿を使っては話さなかったのです。原稿はみな、しまってしまいました。どこかに出ていって即席で話しても、聴衆をつかみ酔わせることのできる訓練をしなければならないのです。それで、私が話すことは問題がないという信念をもっているのです。そこにどのような感情を立体的に一体化させるか、ということが一番重要な問題です。これは、先生が長い間み言を語りながら経験した結果です。その感情に、大衆の前に影響を与えることのできる感情に私がどうやって浸るかという、主体が感じるそれ自体が問題であって、その時は、語る内容自体が問題ではありません。そのような場に入れるようになれば、既に言葉は普通の時のようになるのです。作文もその場でするのです。千万群衆を全部溶かすことのできる雄弁家は、原稿を書いては絶対になることができません。聴衆とその時の感情に従ってすべての内容が、あるいは、話の方向が異なり得るのでその環境をうまく収拾しながら、ここに拍子を合わせて力を加えることができなければならないのであって、原稿を書いてはできないのです。(五四―一八〇)

3 臨機応変式対処能力も必要

 ある時はずっと話していって骨子が詰まってしまうこともあります。今回、あのワシントンやニューヨークのリンカーン・センターのような所では、サタンの役事が多かったのです。ワシントンから話すのですが、詰まってしまったのです。目の前が真っ暗になるのです。そんな時は表情を変えて、その表情で誘導するのです。深刻な立場で引っ張っていかなければならないのです。このようにしながら。聴衆は深刻なので引っ張られてきますが、私はその瞬間考えるのです。このようにして時間的余裕をつかんで、遮りながらサタンと闘わなければならない時もあるというのです。そのようになれば、話さなくてもついてきます。「あの人、言葉が詰まったな」とは考えないのです。

 深刻でなければなりません。ここから既に三十秒、二十秒あるいは十秒以内の時間に言葉を作り出すことができるというのです。もし、考えが出てこないようになるならば、自分の幼い時の話もするのです。「私はこうやって、こうやって生きて、こんな時もありました」と言いながら、幼い時の話を短く入れるのです。母親の話とか自分がよく知っていること、自分の過去の話を例え話として一言さっと入れておくのです。知らないので、それは故意にそうしたとして語るのです。それは訓練ができていない人ならば「アイゴー! いい加減にしたな」として恥をかくのです。ですから皆さんは、そのようなことを全部訓練をしないといけないのです。(五四―一八〇)

4 講義の主になる相対を探せ

 皆さんは話す時、どの人がどのように聞いているかということを探し出すようにします。原理講義をするとき(表情を示されながら)このように座りながら聞く人がいたなら、その人を溶かすのです。その人をどのように感動させるのですか? まず、一級、二級、三級に分けて、そこから自分に一番反対し、一番気分悪く考えられる人を一級としてつかみ、その人を打ち捕らえるのです。その人を標準として戦わなければなりません。戦いなのです。

 そのようにほんの十分程度話したのちに、彼の表情がさらに硬くなったか、少し変わったかを見るのです。ここでその人が分かるようにするのではなく、その人を見る時、見るような見ないようなふうにしなければなりません。そうして最初は深刻でしたが、印象が良くなれば、ユーモアのある話もするのです。緊張していることをジェスチャーで示して、笑わせなければならないのです。(五四―一七六)

5 聴衆の心理を把握してそれに合わせて講義する

 一度笑いさえすれば引っかかっていくのです。そしてさーっと見ながら、このように歩くのです。歩くのにもそのまま歩かずに、とても注目されるように歩くのです。その人がどのように見るかと思いながら、歩く態度と表情をおかしくしてこのように歩くのです。そうしてその人が妥協心がある人なのか、でなければ無口で度量の狭い人なのか、それをキャッチしなければなりません。その人が心理的にどのようなタイプの人なのかキャッチして、その人に合う言葉を研究しておかねばならないのです。「ああ、あの人は私の友人の中でどのタイプの人のようだ。あの人は私が知っている百人の中で、どのタイプの人だなあ」ということを比較研究しなければなりません。そして三、四タイプの人を選んでテストしてみるのです。温和な人なのか高慢な人なのか、強烈な人なのか? その次には何と言いましょうか、ぐずぐずする人なのか?

 ですから劇的な場面をもって、涙を流さねばならない場では涙を流す立場に立たなければならず、許してあげる立場では許してあげる表情と感情をもって、その人を動かすことをするのです。ですから見えない戦いをするのです。戦いをするのです。

 その次には、その人に詩的な感情があれば詩を詠んでいくのです。演説していく途中に考え出して、ほんの一分の間、自分が詩情に浸る、そんな題目をすっと詠んでみるのです。文学的な感情があれば、親しくささやく感情で話してみることです。

 一人をぱっとつかんで十五分間だけテストして、その人に対する骨子をつかみ、刺して、その人が感動して顔が真っ赤になりだせば、聴衆はみな溶けていくのです。(五四―一七六)

6 聴衆と親しくなってから講義を始めれば効果的

 私が話を一つしましょう。私が先日ワシントンにある朴普煕の家に行ったのですが、クウェーカー教徒約七十人がバス二台で訪ねてきました。その人たちはミスター・ムーンといえばどんな人だといううわさを聞いたため、「ミスター・ムーンはこんな人だ」という考えをもって、みな緊張して目がこんなにつり上がっていたのです。

 そんな時は作戦をこのように駆使するのです。「私は東洋人ですが西洋の歌がとても好きです」と言って、一度さっと話すのです。お客様を接待するのに和気あいあいとして、とてもうれしい中で歌を歌い、歓迎すればよいのです。私はそのように考えます。そうしながら、「ここに来られた人の中には歌のうまい人が多いと思いますが、きょうを記念として誰か一曲歌いませんか」と言うのです。そうなれば、お互いに歌おうとするので、全部呼応するようになります。このくらいになれば、ふさがっていた壁がみな崩れていくのです。その次には「私が歌を一曲歌いますから、聴きますか」と言うのです。そうすれば歌を歌えと拍手するようになっているのです。拍手すれば、すてきに歌をさっと歌うのです。完全にそのようにしてしまうのです。そうすれば、このように出た目がみな正常に戻るのです。そこから話を始めるのです。みな親しくなっておいて、よくしておいて話を始めなければならないのであって、そのまま話しては駄目なのです。(五四―一七八)

7 聴衆に自然な印象を植えつけなさい

 先生はここに来ても自然です。あんたたち……。いろいろな人が集まっても自然だというのです。そのために多くの訓練と練習をしたことを皆さんは知らなければなりません。どうでしたか? 私がイギリスのロンドンで話をするとき、ぎこちなさを感じていましたか? まずは自然でなければなりません。自然な印象を与えなければなりません。

「あの人は特別なタイプの人なのだな。あの人はこんな人なのだな」という印象を大衆の前に与えれば、聴衆をみな失ってしまいます。ですから自然な人にならなければなりません。ある時は笑うこともでき、ある時は怒ることもし、ある時は妥協し和合することもできるそんな人、多方面に熟練している素質をもっているという印象を与えなければなりません。

 ですから、あの人は私よりこんな点が優れているといえるものが二つだけ出てくれば、既に仰ぎ見て口を開くようになります。どのようにしても口を開けるようにしてスプーンで御飯をあげれば、それを食べないわけにはいかないようにしなければなりません。初めのスプーンを持つようになれば、既にここから拍子を合わせ口を開くように、どうやってするのかということが一番問題です。(五四―一七八)

8 全体を和合させる融通性のある人になりなさい

 これからは、話せなくなったら何もできないというのです。話せなくなれば、どこに行っても仲間に入れないのです。その次には歌も歌えなければなりません。その次には聴衆が千名、万名いたとしても、そこで私が一度さっと気分を出せば、全部が和合して気分を出すことのできる、その何かを考えよというのです。全体が自分の気分に引っ張られるようにする練習をしなければならないというのです。

 ですから融通性のある人になりなさいというのです。大衆が必要とする人になれば、大衆は必ず引っ張られてくるというのです。そういうことを知って、練習が必要だということを皆さんは知らなければなりません。

 皆さんは映画の主演俳優、それ以上にならなければなりません。ですから皆さん、練習しなければなりません。ある女性たちはこのように歩く人がいます。(笑い)自分がどのように歩いているのかも知らなければなりません。それで皆さんが市内に出て誰が一番きれいに歩くのかを見て、「あ、あの人が歩く姿が一番すてきだ」と思ったなら、そのように歩く練習をするのです。ある人はこのように、またある人はこのように……。(笑い)その中で、全体の前でよく見えるものはよいのです。それをとって訓練をしなければなりません。ですから練習をしなければ駄目だということを皆さんは知らなければなりません。(五四―一七九)

9 度胸(信念)をもちなさい

 皆さんが大衆の前に立つ時は度胸をもたなければなりません、「聴衆が私をどう見ているのか。自分がうまくやれるかやれないか評価するだろうな」と考えればだんだん落ち込んでいきます。そういう時、どのように考えるのかといえば、私の言葉を一番よく聞くように、世界から有名な人々を集めておいたと考えなさいというのです。私の言葉を聞かなければやたら、突き、殴ることもできると考えるのです。その次に、自分の息子、娘だと考えるのです。そうすれば相当に近く感じ、責任感を感じるようになるのです。(五四―一七六)












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