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文鮮明師 講演文

"In the beginning was the Word, and the Word was with God, and the word was God." John1:1


「世界化時代に言論の道徳基準確立を」

01.01.15 第18回世界言論人会議 創設者メッセージ 東京)



 (朱東文ワシントン・タイムズ社長兼UPI社長が代読)

 世界各国から来られた前、現職の国家元首、尊敬する言論界の指導者、そして紳士淑女の皆様。

 私たちは新千年時代の第一歩を踏み出しました。わずが十年前、人類は冷戦時代の核の恐怖と脅威の中に暮らしていました。しかし、今日では、政治、経済、文化など、ほとんどすべての分野の障壁が崩れました。世界は今、一つの共同体になりつつあります。特に、私たちは時間と空間を短縮させるメディア技術の発展によって、人類歴史上、最も幅広い変化を経験しています。過去、いつの時よりも、個人は世界と、世界は個人とかかわりをもつようになりました。

 例えば、インターネットは、私たちがニュースと娯楽情報を得る方法を変えているだけでなく、非常に平凡な個人的意見までも、即時に世界に伝わるようにするものです。同じように、世界の重要なアイディアや問題は、個人のコンピューター画面を通して、いつでも私たちのそばに存在しています。

 二十世紀に科学技術を発展させた最も重要な契機は、電気の発明でした。今日の焦点は、巨大な情報の高速道路であるケーブルの情報流通容量に集まっています。

 今日、各個人がラジオ、テレビ、新聞、インターネットなどを通じて得ることのできる情報量は、とてつもないものです。問題は、果たして人類がこのあらゆる情報を十分に消化し、良い目的のために正しく活用できるかどうかにかかっています。

 ニュースと情報が世界に氾濫すると同時に、ますます商業化していく傾向があります。情報はしだいに一つの商品と見なされつつあるのです。情報の倫理道徳的影響よりは、いかにもっとよく売れるかが重要視されています。情報高速道路が及ぼす影響を率直に評価するためには、科学技術のような外的変化の側面よりも、メディアを通して現れ、影響を及ぼすさまざまな内的側面に注目しなければなりません。

 私たちはより本質的な側面から、情報化時代が人類の心と霊魂にどれほど助けになっているかを、いま一度、はっきりと検討してみる必要があります。世界化時代において、私たちは言論の存在位置を、いま一度、自問自答してみるべきでしょう。言論の歴史に対する責任が最も切実に感じられる時代です。

 純粋な次元で、言論が人間の生活の質と、ひいては家庭と国家、世界に及ぼす影響に対して考えざるを得ません。当然、どの分野に情報伝達手段が最も多く独占的に活用されるかが、核心的な問題になります。現在、先端情報技術が最も活発に使われる分野は、商業広告、政治宣伝、そして大衆文化を挙げることができます。

 情報技術(IT)がより豊かになったからといって、私たちがより尊敬される人になったとか、より健全な社会をつくったと言うことは困難です。肯定的な側面がある半面、かなり否定的な面もあります。親たちはときどき、子供が勉強と眠りを忘れたまま、夜通しインターネットの前で、ある場合にはとても不道徳な状況でチャットに熱中しているのを見ることができます。

 大衆文化において、暴力的で淫乱な内容が、人々をして、他人の苦痛を共に感じられなくするだけでなく、本然の神聖な愛の意味さえも色あせさせてしまいます。

 二十一世紀に人類は、冷戦時代よりもいっそう根本的で、危険な問題に直面することでしょう。私たちすべてが、次に直面するのは、東西間の対立ではなく、価値観における対立であるからです。道徳的世界と非道徳的世界の間の葛藤です。度を越した商業化は、人間の尊厳性に否定的な影響を及ぼすだけでなく、神を求める信仰生活の余裕さえ奪ってしまうことでしょう。言論媒体は道徳的基準を同時に強調するとはいいますが、実際には、価値観とは関係のない利潤追求にのみ没頭するようになる危険性があります。

 不幸にも、私たちが置かれている今日の社会的、文化的環境は、道徳的に退廃の一路にあって、家庭の尊さが破壊され、人類社会を苦痛と絶望の沼に追いつめています。エイズは一つの国さえも根こそぎ破滅させることができます。言論が道徳的な価値を尊重しないとすれば、若者たちは自滅の道から逃れることはできません。さらには麻薬の犯罪、離婚の増加、家庭破壊、エイズ、性犯罪などを防ぐことのできる方法は何でしょうか。その答えは私がお話ししなくともよくご存じのはずです。

 現代の通信技術は、言論の自由の範囲を拡大してくれています。誰でも言論発行人になることができるようになりました。おかしな話かもしれませんが、私たちは今日、あまりにも自由で、ほとんど自由の中におぼれて、さまよいそうです。問題はこのような自由をどのように享受し、有用に行使するかがかなめです。

 今回の会議のテーマは、「新千年紀におけるメディア―その統一的方向性」です。皆様の中に、自由な言論のためには、ある中心的な方向設定があってはならないとお考えの方がいるかもしれません。しかし、ここでの「統一的方向性」の意味は、言論の自由という言論の量的規制ではなく、人間の尊厳性を正しく立てるための真の家庭と信仰の価値観を尊重する、言論の質を念頭において論議されなければならないという意味です。

 個人の価値と尊厳性は、安定した真なる家庭基盤を通していっそう高揚し、きらめきます。まず男性と女性が互いを尊重し、和合することを学べる最もよい舞台は家庭です。結局、彼らは人生で最も重要な要素である真の愛を、家庭の中で完璧に学ぶことでしょう。世界を見つめる価値観は、一次的に私たちの両親と兄弟たちから学ぶようになるのです。すでにお分かりのように、家庭とは、愛を学ぶ最初の、そして最高の学校です。家庭こそ、理想社会と平和世界の礎です。ですから、真なる家庭の価値は、言論によって保護され、尊重されなければならないのです。

 家庭破壊を防ぐことができないとすれば、いくら豊かで自由で、そして家庭ごとにコンピューターがあってインターネットを自由に使えるとしても、幸せで健康な社会は保障されないのです。

 人間の尊厳性は、どこを拠り所としていますか。人間は神性を備えていて、神様をよく「父」と呼んでいます。元来、人間は神様から造られた、神様の子女として育ちながら、神様に似るように創造されました。ひいては、神様を中心とした個人は、究極的に神様と共に暮らす家庭を形成するようになります。そうして、結果的に全人類はこの真なる家庭で、真の父母であられる神様の生命と愛と血統を受け継ぐのです。

 人間社会における宗教の役割は、神様との関係をいっそう高めるにおいて重要です。このような意味で、信仰は必須なのです。皆様がどのような宗教を信じるとしても、宗教が教える神様と人間との関係は、とても重要なものです。特に、人間が信仰を通して絶対、唯一、永遠、不変であられる神様と一つになるとき、人間の内的価値も絶対、唯一、永遠、不変の相対的価値をもつ存在として残されるのです。ですから、信仰の価値は、人間の尊厳性において不可欠な要素として存在しています。このような観点から、信仰の自由、信仰生活、信仰活動などは、理想社会をつくるための柱のようなものです。このような信仰的価値観が土台となった人間の生活は、「ために生きる」神様の真の愛を具現する社会へと導くことでしょう。さらには、あらゆる宗教が信仰を土台として真の愛を実践するとき、世界はお一人の神様のもと、兄弟姉妹として一つになることでしょう。

 さる一九七八年、私が世界言論人会議を創設して以来、この会議は、言論が抑圧されている所を求めて行われ、言論自由の伸張に寄与してきました。私は今回の会議が、変化する言論環境の中で、未来の言論の行動指針を模索するのに寄与することを期待します。言論人は、これまで最も価値あることが何であるか、そして世界平和を実現するのに最もよい方法が何であるかに対し、いつも真実を伝え、人類を啓発し導くのに勇気を見せてきました。未来は、絶対、唯一、永遠、不変なる人間の尊厳性が花咲き、世界平和につながる真なる家庭を実現する時代にならなければならないと信じます。

 このような観点から、きょうはとても意義深い日です。皆様が世界の言論媒体の指導者として、今宵、私がお話しした内容を、自らの心の中深くに刻んでくださるようお願いいたします。健全な家庭と理想的な社会、そして平和な世界を築く使命は、私だけに与えられた課題ではなく、皆様すべてが共に分かち合い、担うべき使命だというのが神様のみこころです。

 情報化時代においては、世界のどこにでも行くことができ、世界のどことも意志の疎通が可能です。しかし、皆様と皆様の国と世界のためなる神様の願いを果たすには、このようなニュースと情報がいかなる価値を創出し、いかにして世界に影響を及ぼすかに対して責任を感じなければなりません。さらに、皆様の生活自体も真なる価値観の生きた手本にならなければなりません。そのようにさえできれば、皆様は神様には栄光を、人類には希望と幸福をもたらすことでしょう。

 会議の期間中、皆様の真摯なる努力が素晴らしい会議結果として現れるようお願いいたします。私たちにあらゆる情報とニュースを流す技術はすでにもたらされました。今後、この技術を消化し、いっそう有用な方向で活用し得る、神様と一つになった真なる人間の心情的価値と要素に、多くの関心を傾けてくださるようにお願いいたします。

 神様の祝福が皆様と皆様の家庭に共にあるよう祈願いたします。

 ありがとうございました。

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