南北統一と世界平和
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 世界平和と統一に関する文鮮明先生のビジョンと実践 2

第六章 世界平和のための国連と家庭の役割

一 世界と国連が行くべき道

 世界平和超宗教超国家連合二〇〇一年総会でのみ言
 (二〇〇一・八・一八、米国、ニューヨークの国連本部)

 満場の貴賓、そして高名なる各界指導者の皆様!

 私は、きょう、このように美しく厳粛な国連会議場で、皆様と共に、世界と国連の行くべき道に関する私の熱情と所見の一端を紹介できるようになったことに対し、深い感謝の礼をお捧げいたします。

 過去四十年余り、私が展開してきた超宗派、超国家の活動と組織の目的は、すべて神様と人間が共に望んできた平和世界の実現でした。平和世界に対するビジョンは、超宗派運動の核心でした。

 人類は、二十世紀に凄惨な世界大戦を二度も経験し、そして七十年の間、無神論共産思想の横暴と冷戦時代を経ながら、先鋭な対決と葛藤を経験しました。冷戦時代が終息し、世界はつかの間の平和のための祝杯を挙げることができました。

 しかし、すぐに人類は、その冷戦の終わりが自動的に平和時代に連結されるのではないことに気づきました。世界の至る所で激烈な戦争が継続し、今も様々な所で殺戮戦が展開されています。これらの諸紛争は、主要宗教間の根深い葛藤が背景になっていることは、周知の事実です。「宗団」間の対話と和合が、いかに重要であるかを悟らせてくれる事例です。

 現代における宗数的な理想の実現は、往々にして世俗権力と一定の距離を置いて活動してきました。今日の一般的な認識は、これを当然なこととして受け入れています。しかし、世界平和理想に寄与するもろもろの国際組織は、世界の偉大な宗教的伝統と自分たちとの関係を再検討すべき時になったと考えます。

 そのいかなる国際機構よりも、国際連合が良い例になることでしょう。多くの人々は、国連が、世界平和のための人類の理想が制度化された組織であるとみなしており、これに期待をかけています。国連には世界の問題を解決し、平和と人類繁栄を促進するために共に働く、すべての国の代表者たちが集まっています。

 しかし、国連で国家の代表者たちが世界平和を実現しようとする努力に対しては、相当な諸障害があります。国連を通して得たもろもろの実績と成果を否定してもいけないのかもしれませんが、国連自体が改善すべき点も多いと考えます。世界の政治家たちと宗教指導者たちが、国連を中心として互いに協力し、尊重する関係が、切実に必要な時となりました。

 本然の人間は、心と体が神様の真の愛に感応しながら、一体を成して生きるようになっています。心と体が闘わずに真の統一の起源を成すのは、人が神様に似た神様の息子であり、娘であるからです。神様の心と体が闘うことはありません。絶対者であられる神様においては、自体内に矛盾や葛藤はあり得ません。

 心と体が統一体となる人間の理想は、神様の真の愛を完全に所有する時に成し遂げられるのです。「平和をつくり出す人たちは、さいわいである、彼らは神の子と呼ばれるであろう」(マタイ五・九)という聖句も、神様を中心として心身一体理想を成したことを前提とします。

 ところが、人間は堕落によって、心と体が統一調和の基準を失ってしまい、葛藤を引き起こしながら自己矛盾の中に生きてきました。そればかりでなく、個人の中で起こる心と体の葛藤と闘争は、家庭、社会、そして国家と世界に拡大されてきました。兄であるカインが、弟アベルを殺害する犯罪もここに由来します。

 有史以来、この地球上で展開されるすべての対決と戦争は、本質的に、より悪であるカイン側と、より善であるアベル側との間の闘いでした。このようなカイン側、アベル側の闘いは、必ず終息し、原状に復帰されなければならず、心と体の対決も終わって、調和一体として復帰されなければなりません。

 個人の心と体が統一されなければならない原理を、世界的な次元で適用、実践しなければならないのです。この目的のために私は、世界平和を具現する、心の世界を代表する「世界平和宗教連合」と、体の世界を代表する「世界平和連合」、「島嶼・半島・大陸国家連合」、そして、二つの世界の調和のための「世界平和超宗教超国家連合」などを創設しました。

 人間社会での諸般の問題は、根源的に、単に政治的な問題ではないために、社会的・政治的解決のみでは、常に不十分なのです。大部分の人間社会が、政治的に統治されていますが、反面、大部分の国家的・文化的「正体性」の根底には宗教があります。事実、大部分の人々の心の中には、宗教的な忠節が、政治的な忠誠よりはるかに重要性をもっています。

 今、宗教が、この世でその真の指導力を発揮する時が来ました。宗教者たちが、この時代の状況と様々な不正に対して責任を感じ、深い自己省察が先立たなければならないと考えます。宗教者たちは、愛の実践で手本になることができませんでした。自分個人の救援や宗派の利益に汲々とするあまり、世の中の救援に尽力できなかったことを悔い改めなければならない時です。今こそ、信仰生活ばかりでなく、愛の実践生活が要求されている時です。

 神様は、私たち指導者、特に宗教指導者を召命していらっしゃいます。世の中の不義と罪悪に挑戦し、真の愛を施すことを望んでいらっしゃいます。すべての宗教者が心を一つにして、神様の人類に対する熱望を代弁し、実行しなければなりません。

 体と外的な世界を代表する、政治家や外交家たちの経綸と実践だけでなく、心と内的な世界を代表する宗教指導者たちの知恵と努力が合わさってこそ、平和世界を完全に成し遂げることが可能なのです。そのような点で、国連を再構成する問題まで深刻に考慮すべき時です。おそらく、両院制の形態を備えた国連を想像することもできるでしょう。

 国家の代表たちによって成された既存の国連を、各国家の利益を代弁する下院に代えて考えることができます。一方、著名な宗教指導者など、精神世界の指導者たちによって宗教議会、あるいは国連の上院を構成することを深刻に考慮するようお願いします。この時、超宗派的な宗教議会は、地域的な個々の国家の理解を超えて、地球星と人類全体の利益を代弁すべきでしょう。

 両院が相互に尊重し、協力することによって、平和世界を成し遂げる上で大きく寄与することができることでしょう。世界の指導者たちの政治的経綸は、世界の偉大な宗教指導者たちの知恵とビジョンによって効果的に補完され得るのです。

 世界は、今も国境線を中心とした衝突地域が増えつつあります。このようなもろもろの紛争地域によって、世界は途方もない人命被害と、数十億ドルに達する戦争費用と平和維持費を注ぎ込んでおり、あまりにも多くの資源と努力を消耗しています。これに比して、ただの一箇所として満足に解決の進展を見せる場所はありません。

 私はこの場で、国家を代表する国連と宗教指導者が心を合わせ、すべての国境地帯に平和地区をつくることを提案するものです。山や川、あるいは平原や海とかにかかわらず、国境線と紛争地域の付近一帯を緩衝地区、すなわち平和地区にするという案です。

 この場所は、国連の直接的な統治と管轄下にあるようにし、ここで全世界から平和定着のために集まってきた人々が暮らせるようにするのです。国連は、ここが国連の創立趣旨と、引き継がれてきた平和宣言の内容に符合する、最も模範的な地域になるよう指導しなければなりません。このような平和地区は、平和と繁栄、和解のための安息所です。そして、人種と性の差別がなく、人権の侵害と戦争から解放された典型的な地域です。さらにここは、生態学的にも環境的にも、万象にとって楽園のような場所とならなければなりません。

 このような平和と自由、生態学的な調和を追求する地域を確定するためには、該当国家が国土の一部を提供しなければならないという問題があります。私は、この提案にとって障害になり得る実質的な問題点を解決するため、少なからぬ努力を傾けてきました。

 私は、「冷戦体制の犠牲になった韓半島の分断と戦争には、摂理的なみ旨がある」と教えてきました。朝鮮戦争は、平和守護のために世界十六カ国の若者たちが国連の旗のもとで血を流した、歴史上類例のない聖戦になりましたが、まだ平和統一は、未解決の課題として残っています。私が摂理観に立脚して、平和世界実現のための国連の厳粛な使命を考えるのも、このためです。

 去る六月から進展した南・北韓の和解と協力のムードが、このまま続いていくことを切に願います。南北が対峙してきた、韓半島の百五十五マイル軍事境界線周辺の緩衝地帯全部を、国連管轄下の平和地区にし、そこに、人類が教訓を得ることのできる展示館と博物館、教育の場と平和公園などをつくることにおいて、国連が率先してくださることをお願いします。

 私は、これまで南米のメルコスル地域に、約百二十万ヘクタールに達する肥沃な土地を購入しつつあります。国連平和地区設定によって喪失した国土の代わりに、これを補償するためです。韓半島の南北の指導者たちに、その一部を寄付すると通告もしました。

 私は、このような内容を明らかにすると同時に、心ある世界の指導者たちが、私が提示した趣旨に同参してくださるよう訴えるものです。そして、私と共に、国連管轄区域となる平和地区確保のために、自らの土地と基金を喜んで寄付できるようにお願いします。平和地区は、国連の指導下で、自然と人間が共存する理想的な道義社会として建設されることでしょう。

 私は、既に二年前の一九九八年十二月に、「対話を超えて実践に進む超宗教的理想の実現」という主題で開催された国際会議の席上で、世界の宗教指導者たちが集まった中、世界平和基金の創設を提案したことがあります。

 この時に参加したすべての宗教指導者たちは、世界の宗教者が、まず世界平和のための基金の募金に率先する意味で、七数に該当する寄付金を出す運動を展開するように決議しました。各個人と国家ごとに、各々経済的な状況が違うために、ある人は七ドルを出すことも無理かもしれませんが、七百万ドルを寄付する人もいることでしょう。この世界に生きている、すべての宗教者が心情的に一つになるならば、基金の募金に積極的に同参するばかりでなく、このように集められた基金によって平和地区を造成し、平和に対する理想と知恵を教えるのに用いることができることでしょう。国連は、宗教者だけでなく、すべての国々に対して毎年、自発的に平和基金(例えば「白十字会費」という名前で)を納付するように指導することができるでしょう。

 富裕な博愛主義者や経済界指導者、企業人をはじめとして、各界各層の指導者と団体、そして個々人たちも国連平和地区建設に積極的に加担し、世界的な平和ムードの造成と募金運動をする上で、率先しなければならないのです。

 私は、国連の上院の使命を果たす超宗数的な宗教議会の基礎とするために、「世界平和超宗教超国家連合」を創設しました。各国家から超宗数的な大使が、既存の大使と共に国連に派遣され、宗教議会、すなわち国連の上院を構成するのです。

 超宗数的な理解と修練をした、超国家的な平和理想を指導すべき国連の上院議員たちが担当する任務は、狭い視野で特定の国家の利益のみを代弁しようとすることとは、正反対になるのです。彼らは、絶対者のみ旨に従って、世界と人類全体の平和理想のための任務を遂行するようになるのです。

 国連の上院議員となった超宗教大使は、いったん派遣されたならば、国連の世界的なビジョンと議題を代弁することのできる、金地球星的な業務を遂行しなければなりません。このような意味で、国連の国際大使とも言えます。このような国連国際大使は、既存の国連大使と共に、世界のどこに赴いても、平和と福祉社会具現のための共同運動を代表するようになることでしょう。また彼らは、地球上のすべての国で、正義、安全、平和の高い理想を守る、良心の守護者の役割をするようになることでしょう。

 このような措置は、世界市民たちと青少年たちに、希望とともに、愛と平和を追求する理想的家庭の安着を、直接に確認する機会を提供することでしょう。選出された超宗派超国家的な大使は、各国ごとの後援のもとに展開している健康、教育、福祉厚生事業などの理想的なプロジェクトが、積極的に遂行されているかどうかも点検することができることでしょう。

 私は、様々な団体と組織を通じ、宗派と国籍を超越して、真の愛の教育を絶えず展開してきました。このように絶えず投入し、対話と和解の努力を展開した、過去数十年の歳月を通し、人類が一つになるための最も堅固な基礎は、正に真の家庭の理想から始まる普遍的、かつ核心的な愛であるということが明確なものとなりました。

 このような内容を土台として、私は、今から国連に属するすべての機構、および組織の活動を促し、三つ目の提案をしようと思います。国連を率いている上位の政策決定権者たちが、決まった規定に従って、世界的な公認の日を制定するのです。私は、国連が「児童の年」、または「平和文化の年」のような多様な宣言的な日と、十年周期の記念日を制定することを知っています。私が勧めようとするのは、意義のある国連公認記念日を制定して、世界が毎年、この日を記憶し、記念するようにしようというものです。

 すなわち、「真の父母の日」を制定し、世界的な祝祭日として記念し、同時に、「真の家庭の日」を二つ目の世界的な記念日として制定することを提案するものです。人種と宗教、文化を超越して、誰でも愛することができ、大切に思うことのできるこのような日を、みな一緒に慶祝することによって、私たちは、人間としての共通した真の根を確認し、真の家庭の大切さを確認できるようになるのです。併せて「国連軍の日」を制定し、国連の正義と平和維持軍の神聖な使命を宣揚するようになることを願います。

 尊敬する指導者の皆様!

 私たちは今、一緒に心を合わせて努力し、宗教と世の知恵の中にあるもろもろの高貴な内容が、緊急で深刻な問題が存在する世界で援用され、適用され得るよう、体制と組織を補完していかなければなりません。

 このような体制は、超宗教指導者で構成された協議体が、国連の政治指導者、および外交官たちと協力し、共同の歩調を取ることで成され得るのです。「世界平和超宗教超国家連合」は、絶対者と超越の世界(霊界)、そして、永生と霊魂の問題に対する正しい指導とともに、このような目標のために献身していくことでしょう。さらに、平和のための国連の努力に添って、ひいては、神様を父母として迎える人類が一兄弟となって、宇宙了家庭を成す、そのような永遠の愛と和楽の天国、神様の祖国を成していくことでしょう。

 私は、専門識見と経験、そして知恵を備えた世界の指導者たちと国連関係者たちが、私が提示したこのような理想をいかに補完していくべきかについて、よく御存じであると信じます。国連をはじめとする政府機構等が、これを成し遂げられないときは、NGO(非政府組織)等、民間組織を通してでも、このことを必ず成すようになることでしょう。私たちが継続的な努力で協力していくならば、必ずや地上に平和と幸福の理想が実現されるはずです。

 神様の祝福が、皆様の携わる仕事と国連の上に、共にありますよう祈願いたします。ありがとうございました。




二 神様と人類が探し求める平和の国と世界

 天宙平和統一国韓国大会でのみ言
 (二〇〇一・一〇・二九〜一一・六)

 尊敬する各界指導者の皆様!

 歴史的な大転換の時を迎え、今日の韓国の統一と世界の平和を憂慮する指導者たちが一堂に会しました。

 去る九月十一日、ニューヨークとワシントンD・Cで起こった惨劇は、全世界に驚きと衝撃を与えました。平和と安全に対する懸念とともに、現代文明と人類の未来に対する深刻で根本的な疑問を再び投げ掛けたのです。

 折しも、去る十月十九日から二十二日まで、ニューヨークでは意義深い国際会議が開かれました。私が創設した「世界平和超宗教超国家連合」と世界NGO連合である「WANGO」との共同主催により、全世界百一カ国から元・現職国家元首、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教、儒教などの主要教団の最高指導者、学界、そして各国のNGOの代表など、四百人以上が参席し、真摯、かつ深刻に、今日の世界が当面している危機と、これを平和的に解決するための方案を模索し、討論しました。

 恒久的、かつ根本的な平和世界の実現に対する私の構想を、その開会演説において伝達した次第であり、きょうこの時間、私の所見の一端を分かち合おうと思います。きょうお話しする題目は「神様と人類が探し求める平和の国と世界」です。

 人類は、歴史を通して平和世界を希求してきました。しかし、その夢は、一度も実現したことかありませんでした。振り返ってみれば、政治的・軍事的対立が熾烈だった冷戦が終息し、多くの人々が高度化した科学文明の基盤の上で、人類が願ってきた平和と安定の新時代が来るものと期待していました。

 ところが、葛藤と憎悪、利己的欲望が私たちの中にそのまま残されており、またそれが、別の形態のさらに大きな災禍を生んでいることを、今になってようやく実感しているのです。無事の人々に対する暴力が罪悪であることは自明であり、このような行動は、必ず終息させなければなりません。

 それならば、このような葛藤と闘争を根元から除去する解決策は何でしょうか。憎しみと葛藤と闘争の種は、どこに植えられて根を張っているのでしょうか。それは、人類始祖の最初の家庭の中に植えつけられたものでした。その根から代を重ね、葛藤と闘争が綿々と続いてきているのです。

 そうであれば、葛藤と紛争を解消し、平和を実現する道はどこに求めなければならないでしょうか。人類はこの間、葛藤と紛争を克服し平和を実現する道を、政治的・外交的努力により、あるいは経済力や軍事力を通して探し出そうと試みてきました。

 しかし、このような方法は、根本的な解決策となることはできませんでした。根本的で唯一の方法は、失ってしまった人間始祖の最初の家庭、すなわち神様の理想家庭を復帰することです。それは、神様を中心とする家庭、真の愛を縦横で完成した家庭のことです。

 神様は、真の愛の本体として存在し、人類にとっては無形の真の父母であられます。愛は、独りでは成立しません。必ず相手を通して結実されます。人間は、神様の真の愛の実体対象として造られた子女です。

 神様は、人間に「生育せよ」という第一祝福を与えられたのであり、その第一祝福は、人間が神様の真の愛の完全な対象、すなわち真の人間になりなさいという祝福でした。神様は、自らの対象に、御自分よりも優れていることを願われました。

 神様は、真の愛の対象である人間に対し、投入して忘れ、さらに投入して忘れ、無限に与えたいと思われる真の父であられます。愛の出発が無限に「ため」に生きるところから出てきたからです。

 神様は、人間に対して「殖えよ」という第二祝福を与えられました。人間始祖は、神様の子女として成長して完成し、神様と一体となった心情圏のもとで、真の夫婦を完成するようになっていました。続いて、彼らは、神様から相続した真の愛、真の生命、真の血統を彼らの子女に伝授しながら、実体の真の父母となるはずでした。

 このように神様の創造理想は、最初の家庭から縦的に真の愛を完成するようになっていたのです。神様の愛が絶対、唯一、不変、永遠なように、その家庭は、真の愛を中心とし、絶対、唯一、不変、永遠の家庭となります。ここから人間は、神様と一心一体となった実体となり、完全な自由と幸福と平和の理想を完成するようになります。

 この時、人間は、宇宙万象の歓迎を受ける真の愛の主管主となるのです。これが神様の人間に対する第三祝福です。

 第三祝福は、人間が万物を主管しながら、幸福な生活条件を得る祝福です。これには、生態系と自然を、真の主人の立場から保存しなけれぱならないという管理の責任も含まれています。

 ところが、人間始祖は、神様の祝福のもとで真の愛の家庭を実現することができませんでした。真の愛を中心とした真の人、真の夫婦、真の父母になることができなかったのです。

 神様に背き、堕落した人間始祖が楽園から追われたのち、神様の祝福とは何の関係もない偽りの愛を中心とした夫婦となり、子女を生み、今日の人類世界をつくってしまったのです。

 有史以来、人類は神様を中心とする真の愛の基盤から生まれることができずに、心と体が葛藤する矛盾をもったまま生きてきました。この葛藤は、兄弟間の憎悪と殺人という悲劇として現れたことを、人間始祖の家庭内において見せてくれています。神様を離れた家庭の悲惨な実状です。

 人間だけが中心となった家庭、人間関係だけを基礎とした家庭は、本然の理想家庭ではありません。神様と垂直的な真の愛の軸で連結された家庭が理想家庭です。真の父母と真の愛のもとで、縦的軸を共有する兄弟間において、初めて完全な和平の関係が成し遂げられます。

 真の愛は、理想家庭の中で体得され、また結実します。家庭は、唯一の愛の学校です。真の愛は、権力や知識や力の基盤からは決して創出されません。

 尊敬する各界指導者の皆様!

 皆様が今日の世相を見渡し、また、若者に対するとき、何を感じますか。希望に満ちた明るい未来だけを感じますか。

 日ごとに増加する若者の犯罪率、暴力と麻薬乱用、不倫と退廃、十代の未婚の母問題と価値観の混乱など、未来社会を否定的に予測し、苦悩することが多いはずです。なぜ若者がこのようになったのでしょうか。より優れた学校教育や制度と環境の改善も、もちろん部分的な解決策となりましょう。

 しかし、根本の根はそのようなところにはありません。真の愛の最初の家庭を失った人類が、歴史の結実期を迎える中で、家庭が安定性を失い、崩壊しているところに、その原因があります。

 家庭の崩壊現象は、一つしかない愛の学校が壊れたことと同じであり、その否定的波及効果は、とてつもないものです。社会的に様々な不安要因となることはもちろん、国家的、世界的に多くの問題を併発させます。特に青少年には、情緒的不安を与え、生の座標を変えさせ、脱線と放縦の生活への直接的な原因にもなります。

 結婚忌避が増えていることや離婚率の増加など、家庭基盤が急速に崩壊している現実は、あすを憂慮する指導者が先駆けて、必ず解決しなければならない課題だといえるでしょう。

 神様の第一祝福と第二祝福を失った人類は、神聖で永遠な夫婦の愛を実現できる真の愛の個体完成の重要性が分からなくなりました。

 青少年は大部分、婚前の純潔と真の愛の人格に対する徹底した教育を受けることができていません。喜びと幸福と理想の根本である真の愛の価値を知らないのです。

 夫婦間の信義と貞節が軽んじられ、結婚の神聖性が無視される風潮の中で、人類社会はとてつもない悲劇と災いを内的に蓄積してきています。

 男女間の愛が刹那的で、肉欲的で、享楽的なことだけに走る、いわゆるフリーセックスと世俗文化の中で、真の愛は立つ場所がなくなってしまいました。急速度で拡大するエイズと性感染症(STD)は、人類の生存自体を脅かしています。エイズからの安全地帯はないともいわれています。

 今、世界を新刊させているテロリズムよりもさらに恐るべき脅威が、安全地帯もなく、私たち全員の間近に迫っているというのです。一度、感染すれば、幸福も理想も生命もすべて放棄しなけれぱならないという、このとてつもない地球星の災いを解決することができずに、どうして私たちがこの時代の指導者だということができるでしょうか。

 また、「万物を主管せよ」と言われた神様の第三祝福の前でも、人間は真の愛の管理責任を果たすことができずにいます。もし、自然が人間の虐待に対して反抗し、人間を拒否するとすれば、どのようになりますか。既にそのような兆候が現れているではありませんか。

 生態系と自然環境が、無言のうちに人間の傲慢さに対して懲罰を与える前に、人間は、真の愛の人格を回復して万物の前に現れなければなりません。

 尊敬する各界指導者の皆様!

 今日の問題をもう少し根本的に掘り下げて調べてみるために、神様の創造理想を中心として、真なる「私」と「私たち」の関係について考えてみようと思います。

 人間は堕落によって、真なる「私」の位置を探し出すことができなかったので、神様も「私たち」という言葉を使用してみることができませんでした。創造理想的意識圏内に立つことができる神様御自身が「私のもの」、「私の子供」と言える関係を結ぶことができなかったのです。

 したがって、私たちがもっている「私」という概念は、神様の本来の創造理想とは何の関係もないものであるがゆえに、私たちは自らを完全否定しなければなりません。

 神様は、神様御自身が安心して「私たち」と呼ぶことができる真なる男性と真なる女性、すなわち神様の真なる息子、娘を捜し求めて復帰摂理をしてこられました。

 神様は、愛の主体、生命の主体、血統の主体であられるので、永遠に一体不可分の基準に立っている真なる息子、娘を捜し求めてこられたのです。私たちは、まず心と体の統一によって個人完成を成し、その基盤の上で神様と父子間の縦的関係を樹立しなければなりません。

 しかし、縦的な関係だけでは「私たち」という言葉は成立しません。そこには必ず横的な関係が調和を成さなければなりません。したがって、男性と女性が、真なる祝福結婚を通して真なる夫婦関係を結び、子女を生んで真なる家庭を立て、三代を中心として四位基台を完成すれば、初めて天は、家庭単位で「私たち」と呼ぶことができるようになるのです。

 それならば、私たちは、どのようにすればそのような位置まで進むことができるのでしょうか。神様は、心と体が完全に一つになった立場で万物を創造されました。それは、絶対愛と絶対信仰を中心とした絶対投入でした。

 そこでは、御白身の利益や事情を考える余裕などありません。完全に一〇〇パーセント与え、また与える、「ため」に生きる愛の始原がまさしくここにあったのです。

 私たちの家庭においても同様です。神様の立場にいる父母は、真の愛を中心として「正・分・合」の論理から見れば、「正」の立場で完全投入、絶対役人することによって子女を生み、養育して縦的な「私たち」の軸を立てなければなりません。

 そして、横的には、夫婦が「分」の立場で真の愛を中心として完全一体となって横的な軸を立てるようになれば、子女たちは「合」の立場で自動的に縦横の軸に合わせて一つになり、兄弟間には前後関係という、またもう一つの軸が立てられるようになり、そのとき初めて縦横と前後で完全な「私たち」の概念が実体的に展開するのです。

 ですから、家庭が極めて大切です。家庭こそ、天が私たちに与えられた最も貴い贈り物です。家庭という環境がなければ、いかにして私たちがこのような絶対的基準の「私」を探し出し、縦横や前後で完全な「私たち」というものを考えてみることができるでしょうか。

 家庭こそ、愛と平和と幸福の揺りかごなのです。それならば、真なる「私」は、どこから探し出すことができるでしょうか。「ため」に生きる愛を実践する生活から、それは可能です。自分をゼロ点で完全に否定し、家庭のために生き、国のために生き、世界人類のために、そして神様のために生きるようになれば、真なる「私」は自動的に探し出されるのです。

 私たちは自らを前面に立て、「私」をむやみに主張してはいけません。非常に長い歴史の裏街道で真なる「私」を主張することができる子女を捜し求め、恨で絡み合った復帰摂理をしてこられた神様の心情を少しでも知るならば、むやみに「私」を主張することはできないはずです。私たちは、寝ても覚めても理想家庭の完成のために生きなければなりません。

 神様の創造本然の世界である平和世界、神様が千年、万年待ち続けてこられた理想家庭さえ立てるならば、それがまさしく地上天国の出発地となるはずです。そこで、かわいそうな神様の恨を解くことができるようになるはずです。

 皆様、太陽を見つめても恥ずかしくなく、海の水を見てもやましくなく、万物の前でも一点の隠し事のない真なる「私」を取り戻し、神様が「私たち」と呼んでくださる家庭を立てましょう。

 そのようにして、神様と人間の間に真なる父母と子女の関係が成立しなければなりません。なおかつ人類の真なる父母であり、愛と生命と血統の根源であられる神様は、人類の先祖であり、ひいては主管者であり、真なる王であられます。

 エデンの園における人類始祖の堕落により、神様は、そのすべての位置を失ってしまったのです。復帰摂理の進展に従って、私は海洋還元、陸地還元、天宙還元とともに、第四次アダム圏の心情圏還元を宣布し、その土台の上で、失われた神様の王権を取り戻してさしあげる歴史的な「神様王権即位式」を、去る一月十三日、韓国において挙行しました。

 本来、アダムが、最初の家庭であり、人類の先祖であり、家庭の根本です。本来は、家庭の王が、未来の国家の王の位置を受け継がなければならず、さらには天宙の王の位置を受け継がなければなりません。そのようになってこそ本然の理想的天国圏が連結されるのです。

 今や蕩減の時代が終わり、入籍を通して本然の定着時代に入っていくことによって、国の王が連結され、さらには世界の王が連結されていくのです。

 それで、「世界平和統一家庭連合」では、昨年の「子女の日」に、天地父母が家庭の王として君臨することを宣布し、入籍された家庭から、初めて天の父母を王として侍っていくことができる時代に入っていくということを宣布しました。

 したがって、すべての祝福家庭は、天地の王に侍る標準的な伝統を立てなければならない家庭であることを自認しなければなりません。それで、教会時代は終わり、家庭連合の時代が開かれるのです。

 宇宙全体が、一つの核を中心とした連体として連結しているのと同じように、皆様の家庭がそのような核の位置に立って万物を愛し、神様が愛で造られた彼らを取り込んで、愛する主人の位置を備えなければなりません。

 それで、自分の家庭が、神様の前に愛を中心として一休圏を成し、天地父母、王に侍る標準的、定着的、礎石のような家庭だ、ということを感じなければなりません。そのようにして、勝利圏を受け継いだ祝福家庭にならなければなりません。

 尊敬する指導者の皆様!

 人類は、今こそ独善と無知、そして利己心と憎悪を自ら反省し、神様の前に謙虚に頭を垂れ、天の道に従わなければならない時に至っています。

 私は、いち早く神様の召命を受け、神様と人類が共に願う平和世界の実現のため、生命を捧げてきました。きょう、私は、平和に向かうための重要ないくつかの点についてお話ししようと思います。

 第一に、私たちは、他のために生きる生活をしなければなりません。利己的な生活は、他人を不快にすることはもちろん、天の道に逆らうものです。他のために生きるということは、直ちに神様に似ることの実践です。

 神様の真の愛を相続し、家庭と社会、国家と世界を愛することは、宇宙の基本秩序に順応することです。真の愛の実践を通してのみ、人格を完成した真の人間、真の夫婦、真の師、真の主人になります。このようになれば、平和を成し遂げる主体となります。

 他のために生きることは、平和に向かう最初の関門になります。これと関連づけて、平和に至る道は、「神主義」、「頭翼思想」によらなければならないという結論を述べようと思います。「神主義」、「頭翼思想」というものは、カイン・アベルの葛藤を始原としたこの世の中にあるすべての葛藤要因と思想とその結実を、すべて和合し包容することができる思想であり、主義です。

 葛藤と憎悪の輪を何によって断ち切るのでしょうか。憎悪に対するより大きな憎悪の反応は、むしろ、さらに恐るべき憎悪と破壊を呼び寄せるだけです。これは、平和へ向かう道とはなり得ません。対立し、仲たがいする双方の葛藤要因は、ただ真の愛によってのみ感化され、教育され、包容され得るのです。

 神様を中心に立てた真の愛は、国境に阻まれることがない超国家的なものです。また、真の愛は、宗教の高い垣根も乗り越え、人種差別もない超宗教的、超人種的なものです。

 神様の理想を中心にした相手のために生きる真の愛の感化力、生命力によってのみ、地球星の左右、前後、上下、内外の様々な葛藤、対立要因がすべて克服され、永遠の平和理想世界が成し遂げられるのです。

 第二に、平和な世界と国家を実現する基礎単位である真の家庭を完成することです。既に言及したように、対立、葛藤の根は最初の家庭にあったのであり、したがって理想的な真の父母の家庭が生まれない限り、平和世界の起源はあり得ません。

 これと連係して、私が世界的に展開している国際祝福結婚は、単純な一宗数団体の結婚式ではありません。神様の愛の伝統を立てる救国、救世の運動です。青少年に対しては婚前純潔運動を実施しています。

 そして、成人すれば、神様の真の愛を中心に夫婦間の絶対信義と貞節の誓約のもとで祝福結婚をする運動です。真の愛を中心として、真の家庭と真の父母を成し遂げる神聖な運動です。

 このような理想のもとで教育を受け、結婚した家庭は、エイズを脅威に感じる理由がありません。彼らにとって、エイズ予防は風邪の予防よりも簡単なことです。

 世界のすべての若者がこのビジョンによって教育を受け、実践すれば、エイズは完璧に予防されるはずです。真の愛の家庭は、家庭の崩壊を防ぎ、国家と世界に平和の礎石を置くのです。

 特に、政治的、歴史的に不和であり怨讐関係にあった国家間の人々が、その高い垣根を越えて姻戚関係、真の愛の関係を結ぶようになれば、和解の範囲は国家を超えて、人類を飛び越えるものになります。

 真の平和へ向かう高次元の公式は、不和と怨讐関係にある家門、さらには怨讐国家の子女たち同士で交差祝福結婚をし、天地が願う真の愛の真の家庭完成の祝福圏を成就させることです。ここから、神様と人間が願う永遠の平和世界が出発していくのです。

 第三に、超宗数的な和解と協力は、平和世界へ向かう必須条件です。私はこの五十年間、超宗数的な和合と対話のための運動のチャンピオンとして活動してきました。常に自らの教団の発展よりもはるかに多くの予算を支援しながら、休むことなくこの運動を行ってきました。

 変わることのない、このような愛の実践をすることは、簡単なことでしょうか。決してたやすいことではありませんでした。敦団間の和解と協力がない限り、世界平和は期待することができません。神様の理想である平和世界への案内者には、宗教指導者と信仰者がならなければなりません。

 もし、宗教が偏狭な教派主義ばかりを強調し、宇宙的な真の愛を教えることに失敗すれば、人類は葛藤と戦争の恐怖から自由になることはできません。地球星の危機の前に、宗教指導者は謙虚に神様のみ旨に従い、超宗数的に手に手を取って真の愛を実践していかなければなりません。

 宗教の感化力によって安らかな人格が創出され、自己主管力が養われて歴史的な憎悪と怒りを消化することから、真の平和と安定がもたらされます。もし、各宗教が教理や儀式の違いを超えて、神様の高い理想のもとでお互いに愛し合い、協力し、奉仕することをこの世の中に見せてあげるならば、世界は劇的に変わることができます。

 第四に、平和世界を成し遂げるための国連の正しい役割を再度強調したいと思います。

 国連は、代表的な世界平和機構として、これまで多大な貢献をなしてきました。しかし、創設時と大きく変わってしまった世界の事情と多元化した地球星の問題解決のために、昨年、私の考えを国連に提案いたしました。国連内に上院のような特別機構を補強し、宗教的、精神的、道徳的、思想的次元から世界問題を審議するようにすることがその一つです。

 国連が国益に基礎を置いた政治や外交の力によってつかさどられる次元を超えて、地球星的な理念と神様の高い理想のもとでつかさどられる機構となることによって、初めて万人の権益を保護し、平和世界を創建していくことができます。

 国連だけでなく、今後の世界秩序は、政治主権が道徳的、精神的価値と別個に作用しては、公益と平和を保障することが困難です。

 神様の理想に基礎を置き、宇宙の公法と通じる精神的、道徳的高次元の指導力が要請されています。政治力やそのいかなる力も、神様と天理の上に立つことはできません。

 また、国連は、非政府民間団体であるNGOの意見を多く取りまとめていかなければなりませんo.私が世界NGO連合である「WANGO」を創設した理由もここにあります。すべての「NGO」は、より一層対話し、協力しつつ、本来の創設精神を失わないようにしなければなりません。利己的で偏狭にならないように努力しながら、世界のために正しい奉仕を続けていくことをお願いする次第です。

 尊敬する指導者の皆様!

 自ら実践することなくして平和を語ることは、真の指導者の道理ではありません。また、私たちが座して平和を待っているだけの余裕がある世界の状況でもありません。

 平和大使たちはもちろん、私たち全員が平和運動の主体となって、必ずや平和世界を創建しなければなりません。国連をはじめとするすべての国際機構は、平和大使館を中心として、歴史的宿願である世界平和理想国家運動に積極的に協力、支援してくださることをお願いします。

 各界各層の指導者である皆様が一心一体となり、共に他のために生きることで、真の愛の家庭理想を実践、創建し、天運の協助を受ける平和の先駆者となりましょう。統一された祖国と平和の理想世界を建設する役軍になりましょう。神様の祝福が皆様の家庭に共にありますように。

 ありがとうございました。



2004.6.13 了













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