神様の摂理から見た
  南北統一

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三.腹中の長子権復帰摂理

1 ペレヅとゼラを通した腹中の長子権復帰摂理

 ヤコブの息子ユダにはエル、オナン、シラという三人の息子がいました。ユダの長男エルはタマルと結婚しました。タマルは長男に嫁いだのですが、長男は早くに死んでしまいました。その後タマルは二番目の息子であるオナンと暮らすようになったのですが、その二番目の息子もまた死にました。このようになって、ユダの家庭は代が途絶えるようになりました。アブラハム、イサク、ヤコブの三代にわたって神様から引き継いだ祝福の摂理がユダの時になって無為に帰すようになる立場でした。そこでタマルは遊女の姿をして、農場に行くユダを誘惑して関係を結び、子供を生むようになります。

 そしてタマルは双子を身ごもりました。彼らを産むとき、まず手が一つ出たので、産婆が「この子が先に出た者だから兄である」と言って緋の糸(赤い糸)を結んでおきました。すると、その子が手を中に引き入れたとき、その弟が出たので、「どうしてあなたは自分で破って出るのか!」と言い、彼の名前をペレヅとつけました。その後に赤い糸を結んだ兄が出ると、彼の名前をゼラとつけました。

 なぜ神様は長子であるゼラを差し置いて、次子であるペレヅを先に出生させる摂理をなさったのでしょうか。リベカが、腹中で兄弟が争うので神様に「神様、この二人の子が腹中で争うのですが、なぜですか」と祈祷したとき、神様が答えられたのは、「二つの国民があなたの胎内にあり、二つの民があなたの腹から別れて出る。一つの民は他の民よりも強く、兄は弟に仕えるであろう」(創世記二五・23)とおっしゃいました。なぜそうでなければなりませんか。このようにタマルの腹中でも二人の兄弟が争いました。タマルが祈祷すると、神様がリベカに言われたみ言のように、「二つの民があなたの腹から別れて出る。一つの民は他の民よりも強く、兄は弟に仕えるであろう」とおっしゃいました。我々はこのような摂理的な内容を通して、次子が、長子の嗣業を腹中から奪ってくるという役事を見るのですが、これが何の曲折によって成されたことなのか分かりますか。これがまさにキリスト教が解くことのできなかった歴史の秘密でした。(一九八〇・一一・一八)

2 神様はなぜ腹中摂理をなさらなければならないのか

 ヤコブがエサウから長子の嗣業を奪った摂理歴史は、ヤコブが三十代の壮年時代に成されました。しかし、根本的な問題について見るとき、腹中にいる時期から分立役事を通して長子の嗣業を奪わなければならないのが神様の立場でした。そうしなければ、サタンの血が人間の血統の中に残っているという条件で、サタンが讒訴できるようになります。そのようになれば、神様は彼を自分のものであると主張できなくなるので、腹中にいるときから分立役事をしてこられたのです。 

 人間始祖の堕落によって、腹中から神側とサタン側の二つの世界に分かれたのが歴史の始まりでした。それゆえ神様は、ご自身が願う血統を通して本来の神様の祝福の継代を築いておくためには、腹中から二つの世界の統一的基盤を築かなければなりませんでした。また、そのようにすることによって、復帰摂理において蕩減条件を立てていくことになるので、神様は腹中から摂理を展開せざるを得なかったのです。

 当時は、寡婦が子供をもったり、淫行した事実があらわになったときは、石で打たれて死ぬのが一つの不文律でした。しかし、そのような環境の中でもタマルは神様の恨の結ばれた長子の嗣業を復帰してさしあげなければならないのが自分の身の上であることがよく分かったために、命を懸けなければ誰もすることのできない、このような働きをすることができたのです。では、タマルは神様の前に、どのような祈祷をしたのでしょうか。

 「神様、あなたの祝福圏を欽慕し、あなたの祝福の代を継続するために私がこのようにするのですから、神様! 許してくださいませ。私がたとえ千万回死ぬ恨があったとしても、ひたすらこの不倫の所行を土台として神様から祝福され得る基盤がユダ家に築かれるのならば、私は何の遺恨もございません」と、間違いなくタマルはこのように祈祷したはずです。

 そのような切実な内容があったので、タマルは生死を意に介することなくひたすら神様の恨みの結ばれたみ旨を成し遂げてさしあげるために、その死の状況までも克服することができたのです。このように、タマルのみ旨に対する忠節は実に驚くべきものです。まさにこのような立場でのみ摂理歴史を広めることができるというのが、神様の復帰摂理の事情でした。

 こうして、神様はタマルに祝福をしてくださるようになり、ユダ支派の出発がなされ得たのです。

 いわば神様は、タマルの血統を通して初めて腹中からカインとアベルが失敗した路程を蕩減し、長い間待ちわびた勝利的基盤をこの地上に踏み固めることができたのであり、神様が願われ、予定されていた本来の長子権をこの地上に転換させることによって、タマルの血統から王の中の王であるイエス様が出現できるようになったのです。

 ここからイスラエルの新しい歴史編成が可能になったのです。もし、そのようにできなかったなら、イエス様がたとえ腹中にみごもられたとしても、サタンが讒訴せざるを得なくなるというのです。いわば、腹中から勝利したという条件を立てておくことができなければ、イエス様は生まれることができないのです。それゆえ、タマルの腹中から長子と次子の観念をすべて統合し、神様の長子、次子の権威を取り戻す基盤の上でイスラエルの出現が起こり得たのであり、また、そのような勝利的基盤を築いたタマルの血統からイエス様が誕生なさることができたのです。(一九八〇・一一・一八)

3 メシヤはいつ来ることができるのか

 皆さんは、そのような基盤の上でならば即刻メシヤが来られるのではないだろうかと考えるかもしれませんが、そうはなりません。

 なぜなら、サタン世界は国家を形成していたのに、当時のイスラエルは氏族編成圏内にいたからです。すなわち、サタン世界は国家を形成していたので、そこに氏族圏であるイスラエルが対処できなかったのです。ですから、神様は二千年の歴史を延長させながら、「早く大きくなり、成長しなさい」という祝福をイスラエルの民に与えてくださったのです。神様のそのような祝福を礎として、イスラエルは国家編成を願ってこざるを得なかったのです。このようにして延長されてきた歴史が二千年であり、その歴史の中にユダヤ教を中心としたイスラエルの国家形成が始まるようになったのです。そのようにしながら、神様はイスラエル民族に、「メシヤを送ってあげよう」という約束をしてくださったのです。

 メシヤはどのようなお方でしょうか。メシヤは神様の最初の息子として生まれるお方です。ひとり子という言葉がここで現れます。皆さんはそのような内容を知らず、ひとり子イエス・キリストというでしょう? ひとり子という意味は、神様を中心として最初に愛を受けることのできる人です。堕落によって汚された血統を清めた後に、初めてひとり子の権威を備えて来られるお方であり、サタンが汚してしまったものを蕩減条件を立てて完全に解放された立場で、神様の愛を直接授け受けることができるのです。このような立場でのひとり子だったのです。このような内容はキリスト教歴史二千年の中で誰も知りませんでした。

 このような根本の問題を明瞭に解決するところからキリスト教の進路が決定されるのですが、今日のキリスト教はそのようにできずにいます。したがって、すべての問題の根本的な核心を正しく知るときに初めて問題が解決され得るように、今日のキリスト教が人類の前にすべての難問題を解決することのできる希望的な宗教として現れるためには、まずキリスト教の根本原則から正しい解決点を見いださなければならないのです。ですから、キリスト教において最も必要なのが神様の伝統です。

 メシヤは第一に神様の愛を受けることのできる人なので、サタンによって汚された血を清めてくれる蕩減条件を通して、初めてサタンの束縛から解放されたひとり子としてこの地上に来ることができるようになるのです。

 しかし、メシヤは当時のイスラエルにやって来ることはできませんでした。既に明らかにしたように、イスラエルが民族編成を経た後で初めてメシヤを送ることができるのです。すなわち、国家を代表して神様が主管できるアベル圏であると同時に、神様の長子権をもって来られるお方がメシヤでした。(一九八〇・一一・一八)




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