青年の希望
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真の父母と成約時代

 一九九三年九月十四日、東京・後楽園の東京ドームで、五万人の参加者を集めて開催された、「世界平和女性連合」の創立一周年記念大会において、文鮮明師の令夫人・韓鶴子女史が、同連合の総裁として行った、講演である。


尊敬する御来賓、そして紳士、淑女の皆様。

 このたび、招待講演会に、このように多数の方々がお越しくださいまして、心から感謝申し上げます。皆様が平和世界を建設するために献身される姿に接し、心から感動を覚えます。

 皆様も御存じのように、今日私たちが住んでいる世界は、平和で幸福な世界ではなく、葛藤と絶望に満ちています。私たちは、家庭崩壊と道徳的退廃の問題に直面しています。したがって、私たちがもし明るい未来を願うならば、何よりもまず、神が人類を創造した根本目的を理解しなければなりません。

 人間はだれでも、自分の愛する者が自分よりも、もっと立派になることを願います。例えば、すべての親は、子供たちが自分以上に立派になることを願います。このような心は神様から来たものです。神も、御自身が創造した子女である人間が、自分以上に、もっと立派になることを願っています。

 さらに神は、子女たちに限りなく与えようとされます。神は一○○パーセント与えたからといって、決して満足されません。御自身が持っているものを千倍あげても、それ以上与えようとされます。

 神の愛は、すべてを与え尽くしても、与えたという記憶すら忘れてしまう愛です。そして、永遠に与えたとは判断されない方です。

 よく知ってみますと、神が被造世界を創造した目的は、愛の相対を得るためでした。神が存在するものをみなペアシステムでつくられた目的は、真の愛のためでした。

 したがって、父母は子女のために生き、子女は父母のために生きるようになっています。また、夫は妻のために、そして妻は夫のために生きなければなりません。すべての被造万物は、「ために」生きるように創造されたので、与えながら生きるようになっています。


神の創造理想

 もしも、アダム家庭で、神の真の愛の理想が成就されていたならば、その家庭は天国の出発点になっていたはずです。そして、このような天国家庭が歴史的な発展を経て、氏族的、国家的、世界的に拡大されていったでしょう。さらに、地上ばかりではなく、霊界までも天国理想が展開したでしょう。

 もし、神の根本理想が完成していたならば、メシヤはもちろん、神の救援摂理も必要なかったはずです。一家庭であっても、アダム家庭は正に真の愛を中心として「ために」生きる家庭として、氏族、国家、世界の中心となったはずです。アダム家庭は、そのまま未来に誕生するすべての家庭の青写真となり、神の理想世界を実現する手本になったはずでした。


人類歴史の誤った出発

 人類始祖の堕落のゆえに、神の救援摂理が始まりました。救援摂理の歴史は、旧約時代、新約時代、そして今日、成約時代に至るまで、複雑多岐で苦難に満ちた路程を経ながら、延長に延長を重ねてきました。

 神がアダム家庭を中心としてつくろうとされた真の家庭の理想と天国は、アダムとエバが神から離れることによって、成就できませんでした。堕落のゆえに、今日の世界は、神が理想とされた善の世界とはあまりにも掛け離れた世界になってしまいました。事実、今日の世界は、偽りと利己的な愛に満ちています。

 それは、アダムとエバがサタンを中心として、利己的で偽りの愛を土台として、偽りの父母となったからです。彼らは善の代わりに悪を繁殖し、偽りの家庭をつくり、子孫に偽りの生命と血統を伝授しました。そして偽りの氏族、国家、世界が現れるようになりました。

 したがって、神の救援摂理の最も重要な目的は、真の愛を中心として復帰されたアダムとエバを代表する真の父母を見いだすことです。そして彼らを中心として、真の家庭をつくることです。そうすれば、その家庭を出発点として、真なる氏族、国家、世界が展開されていきます。言い換えれば、神の真の愛、真の生命、真の血統をはぐくむ種が創造されなければなりません。


和解を実現する公式

 御来賓の皆様。腐敗と罪悪に満ちた世界が、善と愛の根源であられる神からどうして始まったのかと、疑ったことはなかったでしょうか? 聖書を注意深く読んでみると、人間の堕落が、アダム家庭全体を失う結果になったことを知ることができます。第一に、アダムとエバが堕落によって、父母の位置を失い、第二に、カインがアベルを殺害することによって、子女の位置を失ってしまいました。

 理想家庭と完成した世界を計画されていた神の青写真まで失う結果になりました。したがって、神は根本家庭を復帰するために、カインとアベルの位置を復帰し、そして、真の父母の位置を取り戻すために、反対経路の摂理を進めなければなりませんでした。

 カインとアベルを和解させ、一つにさせるパターンは、そのまま真の父母を復帰する基台として、復帰摂理歴史の公式になってきています。ユダヤ教、キリスト教の歴史を調べてみると、堕落人間はカイン・アベルのように、敵対と分立歴史を繰り返してきました。したがって神は、堕落人間をサタンを象徴するカイン側と、神を象徴するアベル側の二人の兄弟関係に分立させ、堕落によって生じた憎悪を取り除いてこられました。

 神は、アベルが先に打たれて犠牲になる作戦をとってきました。その結果、アベルは自分を犠牲にし、カインを包容して、長子に与えられた祝福を取り戻したのです。例を挙げれば、救いの目的の最先端を行く宗教は、いつもサタンから激しい迫害を受けてきました。そのような宗教の行く道は、常に反対されながらも、罪悪世界を救うために絶えず犠牲になってきました。それゆえ、善なる人々はいつも先に打たれ犠牲の道を行きます。今日、堕落した世界を見ると、例外なく、カインとアベルの善悪の葛藤と闘争を見ることができます。このような葛藤と苦痛は、個人の心と体の衝突から始まります。心はアベル側に立ち、カイン側に立っている体を征服しようと身もだえします。

 このような個人の苦痛は、家庭、国家、世界にまで拡大しています。その結果、人間は常にアベル側すなわち善なる側と、カイン側すなわち悪なる側との二つの側に分かれて、あらゆる次元で戦っています。しかし神のみ意は、いつも双方が争い、一方が勝利し、他方が征服されるよりは、共に復帰されることを願っています。

 その実例を挙げれば、アベル格であるイエス様の十字架上における右側の強盗と、カイン格である左側の強盗がいます。世界的には自由世界と共産世界を代表して、最後の闘争を展開している韓国と北朝鮮の対決、さらには、中東でのキリスト教とイスラム教の対決を挙げることができます。したがって、神の復帰摂理にとって最も中心的な問題は、どのようにすれば分かれた双方を神の理想を中心として、一つにして真の父と真の母を迎える基台をつくるかということです。


終末を迎えた世界

 紳士、淑女の皆様。家庭が神の愛の理想を中心としていないので、家族の間に衝突が生じます。神の愛を絶対的な中心としなければ、結局、その家庭は崩壊してしまいます。さらには、そのような家庭が集ってつくる国も衰亡の道をたどります。

 最初の家庭が不倫をなし、利己的な愛の奴隷になったので、利己心と欲望は、個人、家庭、社会、国家、世界的次元へと展開して人類歴史を汚してきました。それゆえ神の復帰歴史は、個人から始まります。ところが、サタンもそれを知っているので、人間に対して個人の次元から集中攻撃を行ってきました。

 終末を迎えた今日、利己的な個人主義が一般的な生き方となったのは決して偶然ではありません。人々は日がたつにつれて、周囲から次第に疎外感を感じ、各自が属している国家、社会、そればかりか自分の家庭にまでも無責任になりつつあります。離婚率が日々上昇している事実は、夫婦が互いに結婚に対して無責任であるという証拠です。父母は子女に責任をもとうとしないし、個人の威信を放棄しつつあり、自分に対する責任すらももとうとしません。

 アメリカでは、このような現象が一九六○年代、青年の運動と共に台頭し始めました。理想を求める若者たちは、愛と平和の美名のもと、物質主義を排斥して出発しました。しかし、その過程で彼らは物質主義を排斥したばかりではなく、人間の道徳性と責任感までも捨ててしまいました。

 彼らは、求めてきた愛と平和を獲得できなくなると、多くの若者たちは自殺、麻薬中毒、フリーセックスへと陥ってしまいました。これらの現象の中でも、神が最も心を痛められているのはフリーセックスです。愛はもともと純粋な情緒的刺激から誘発されるはずなのに、フリーセックスは、純潔や情緒とは全く関係がないのです。正反対に神のみ旨のために働いている人々は、全くそれとは一八○度異なった生き方をしています。

 歴史を見ると、自己犠牲を甘受しながら霊的な価値を追求してきた人々は、周囲から言い表すことのできないほど反対と迫害を受けてきました。神の愛と祝福が共になかったならば、統一教会も世界的な反対の中で、今日のように発展することはできなかったに違いありません。私たちの教会が、わずか三十八年間で、戦争で灰と化した韓国の地で、無名の教会として出発し、今日世界的な宗教として登場し得た事実、それ一つだけを見ても、神の限りない導きと加護を感じることができます。


真の愛の復帰

 紳士、淑女の皆様。聖書にはエバが先に神の戒めを破り、サタンと関係を結んだとあります。堕落によって、エバはもちろんのこと、アダムとその息子たちであるカインとアベルまでも利己心と偽りの愛を中心にして、サタンの血統を受けるようになりました。

 このように、サタンによって本来の軌道を離脱した、最初の始祖アダムとエバの末裔となった私たち人間は、だれでもサタンの血統を受け継いで生まれています。ヨハネによる福音書第八章四四節に「あなたがたは自分の父、すなわち、悪魔から出てきた者であって」と、イエス様がとがめられたのも、正にこのような理由からです。旧約聖書では、「目には目を、歯には歯を」という公式に沿って、救援摂理の役事を展開してきたと説明しています。

『原理講論』では、過ちを償うことを「蕩減条件を立てる」といいます。堕落したエバが、自分の失敗を償うには、すべての責任を一人で負わなければなりませんでした。エバは堕落行為に対し、反対の経路を通じて原状に戻し、各段階を霊肉両面から復帰しなければなりませんでした。天のみ意は、エバが次子であるアベルを、み旨に従うように協助することでした。

 創世記によると、神はアベルの献祭は受け取りましたが、カインの献祭は受け取りませんでした。しかし、これはアベルが期待してそうなったのではありません。カインはアベルを神が選んだ者として認め、彼と一体となるべきでした。

 もしも、カインとアベルが一つになったならば、子女の立場を失うという堕落によって生じた二番目の問題は、その時既に解決されていたに違いありません。そうなれば、神はアダムとエバの問題だけを解決すればよかったのです。エバは元来、人類最初の母となるべきでした。エバはカインとアベルを一つにし、真の父母のための基台をつくらなければなりませんでした。しかしエバは生存中に、その使命を果たせませんでした。それで歴史は、だれか他の女性が現れて、堕落したエバの代わりに蕩減してくれるのを待つようになりました。


リベカの模範的事例

 聖書では、イサクの妻リベカを、神のみ業を成した最も偉大な女性の一人として描いています。エサウとヤコブの母として、リベカはイサク家庭でアダム家庭のエバとちょうど同じ立場でした。リベカはエバとは違って、神の摂理を理解しました。それでアベルの立場にいた次子ヤコブを助け、長子エサウが受けるようになっていた祝福をヤコブが受けるようにしました。

 エサウは自分の受けるべき祝福が弟ヤコブに与えられたことを知って、カインがアベルを殺害したようにヤコブを殺そうとしました。しかし、母リベカの助けによって、二人の兄弟は血を流す代わりに、最終的には温い兄弟愛で和解しました。この劇的な和解こそ、神から見た時、重大な勝利となりました。

 しかし、それはまだ完全な勝利とはならず、血統転換の立場から見て、あくまでも象徴的なものでした。実体的な血統転換は、母親の胎中で完成しなければなりませんでした。ここに、タマルを中心とした逆説的出来事の理由があります。リベカのようにタマルも、堕落したエバの立場にいました。この点を理解すれば、イエス様がなぜタマルの血統を受け継いだ、ユダの支派から生まれるようになったかの理由がよく分かります。

 皆様も、タマルの双子の息子にかかわる話を聖書で読んだでしょうが、彼女は舅であるユダと関係して、双子の息子ペレヅとゼラを身ごもりました。聖書には、この双子は母の胎中で長子権をめぐる戦いをしたと記録されています。

 タマルの出産過程を見ると、ゼラの手が先に出たので助産婦がその手首に赤い紐を結ぶと、また母親の胎内に引っ込んでしまいました。次子となるはずのペレヅが先に生まれ、長子となりました。このようにして、カインとアベルの位置が出生前に転換されるという摂理が成就しました。正にこの条件のために、イスラエルがメシヤを迎えることのできる選民国家となったのです。

 伝統的な道徳観から見れば、リベカとタマルにかかわる話に疑問を抱かざるを得ません。神様はなぜ、そのような女性を祝福されたかは、今日に至るまで神学界の謎となっています。

 先に述べたように、イエス様をこの地上に送るためには、失われた血統をサタンから取り戻す準備作業が必要でした。このようにして取り戻した真の愛の血統的基盤の上で、イスラエルの国が拡大していったのです。イスラエルは、勝利を意味する言葉です。二人の女性の勝利は、また血統転換の勝利を意味しています。


命懸けのマリヤの路程

 それ以来、ユダの血統は子々孫々発展を繰り返しながら、氏族、社会、国家基準へと拡大していきました。この血統を通じて二○○○年後、イスラエルにマリヤが生まれました。

 マリヤの責任は、長子権を復帰するためにカインとアベルを一つにし、家庭、氏族、国家基準まで、み旨にかなった蕩減条件を立てることでした。マリヤは、神のお告げを受けてイエス様を身ごもりましたが、周囲の目から見れば自分の父母や、婚約者ヨセフを裏切った形でした。

 その当時、どんな女性でも、夫以外の男性の子供を身ごもったならば、石打ち刑にされるのが慣例でした。しかし、アダムの立場にいたヨセフが勇敢に進み出て、婚約者のマリヤを見捨てず、保護してあげました。

 マリヤの信仰と、リベカとタマルの貢献によって、マリヤの胎内に宿っていたイエス様に対し、サタンは所有権を主張することができませんでした。イエス様は、神の完全なる直系の血統のもとで生まれました。堕落した血統を転換したのちに、神のひとり子として生まれたイエス様は、聖人中の聖人であり、真の血統の祖先となるのです。

 マリヤは復帰されたエバの立場で、アベルの位置にいたイエス様と年上の従兄である洗礼ヨハネを、一つにしなければなりませんでした。イスラエル国民とユダヤ教がカインとアベルの立場でイエス様をメシヤとして受け入れるために、この二人が一つになることは絶対的に必要な条件でした。洗礼ヨハネは兄さんでした。数多くの人々が彼に従い、広く尊敬されていました。

 イエス様が弟子たちに言われたように、洗礼ヨハネの使命は、来たるべき主の道を直くするためにエリヤが先に来ると言われた、旧約聖書の預言を成し遂げることでした。

 果たして、洗礼ヨハネは摂理の観点から見て、責任を成したでしょうか? ルカによる福音書には、洗礼ヨハネはエリヤの権威と使命をもって来ると記されています。しかし洗礼ヨハネは、自分がエリヤであることを否認し、ヨルダン川でイエス様に洗礼を授けた時、天が開けて受けた確かな啓示にもかかわらず、イエス様がメシヤであることを疑いました。

 また、その当時の人々の目には、洗礼ヨハネは宗教指導者として非常に尊敬を受けた人物でした。一方、イエス様は貧しい大工の仕事をする私生児として映りました。したがって、洗礼ヨハネの助けなしには、当時のユダヤ人たちがイエス様を信じて従うことは不可能でした。それで、イエス様は自ら、自分でメシヤを宣布しなければならない困難な道を出発しました。

 洗礼ヨハネは、イエス様がイスラエルの宗教指導者として登場できるように助けなければなりませんでした。洗礼ヨハネがその使命を完遂していたならば、アベルの立場にあるユダヤ教と、カインの立場にあるイスラエルの国が、イエス様を中心にして一つになるはずでした。そうなってさえいたならば、その時、小羊の婚姻がなされ、イエス様は人類の真の父となり、新婦は人類の真の母となっていたでしょう。

 イエス様の福音は、彼が四十歳になる前の七年以内に、世界的に急速に伝播され、アジアとローマまでも従わせていたでしょう。最終的にイエス様は新婦と共に、個人天国、家庭天国、氏族天国、国家天国をつくっていたはずでした。


成就されなかった夢

 しかし、この夢は実現を見ずに終わりました。いわゆる宗教家と自称する人たちが、イエス様のみ言を拒み、ついには十字架に追い込んでしまったからです。イスラエルの不信仰に直面したイエス様は、人類の霊的救援のために命を捨てる決意をされました。

 したがって、霊的・肉的両面の救いを成就するために、イエス様は再び来なければなりません。このような理由で、人間の心はイエス様を通じて神に近づくことはできますが、体はいまだに悪の誘惑圏に属しています。聖パウロですら、肉身と良心の欲望とが葛藤し、矛盾の中で苦悩しました。多くのキリスト教の偉大な福音伝道師たちも、このような矛盾に苦しみました。

 成約時代を開始するために、何よりも重要なことは、私たちはみな、霊肉ともの救いを受けなければならないという点です。イエス様が十字架上で亡くなられることによって、右翼と左翼の闘争が始まりました。これは、アダム家庭の堕落によって、カインとアベルが分立したのと同じです。またキリスト教とイスラム教が出現し、戦いを開始しました。このような分立闘争は、イエス様が十字架上で亡くなることによって生じたので、イエス様が再臨する時には、すべてが一つに統一されなければなりません。

 神がイエス様の再臨を準備するためには、世界的次元でのカインとアベルの勝利的和解が必要でした。

 第二次世界大戦の時に起きた一連の出来事を中心として、このような摂理が展開されました。キリスト教圏を代表したイギリス、アメリカ、フランスの連合国家群はアベルの立場に立っていました。一方、枢軸国家である日本、ドイツ、イタリアは国粋的軍国主義の影響を受け、カインの立場に立っていました。

 この戦争は、世界的次元にまで拡大されたカインとアベルの対決を意味していました。連合国が勝利したのち、キリスト教を中心として、世界平和を実現するための大々的な努力がなされました。

 イギリスは世界的なエバ国の位置に、そしてフランスとアメリカは、それぞれカインとアベルの位置に立って、共に再臨主を迎える準備を完了していました。しかし、そのような準備にもかかわらず、神の摂理は、その時成し遂げられませんでした。

 神の代身として、み言をもって来られた一人の方がおられますが、その歩みは数多くの形容し難い迫害を受け、世界からも理解されませんでした。二○○○年前のイエス様の立場と全く同じでした。イエス様の時代、イスラエル民族が火の車に乗って天から再臨するエリヤを待っていたように、キリスト教徒たちも再臨主の顕現を、雲に乗って天から降臨するものと信じて待っていたのです。

 黙示録には、イエス様が弟子のヨハネに「主は新しい名でもって来られるだろう」と言われた箇所があります。これはエリヤがそうであったように、イエス様も再臨の時には別の人の姿で来られることを意味しています。

 神は、私の夫を選ばれて韓国のキリスト教徒たちに、新しい真理のみ言を伝えるようにされました。しかし当時、キリスト教界の指導者たちは一介のみすぼらしい若者にすぎない夫が、新しい真理のために選ばれた可能性すら無視してしまいました。

 新約時代は旧約時代の延長なので、当時のユダヤ人たちがイエス様の顕現を信じなかったように、韓国のキリスト教指導者たちも再臨主が人間として肉身をもって、地上に誕生することを信じられませんでした。

 もしも、その時キリスト教界と夫が一つになっていたならば、地上世界はもちろん、天上世界にまでも天国がつくられたはずでした。新約時代が終わる一九四五年から一九五二年までの七年間に、全世界が神の摂理に従って一つに統一されていたはずです。

 しかし、その当時、宗教指導者たちは夫と一つになるどころか、夫に従う信者たちの数が日増しに増える理由を知ろうともせず、盲目的に嫉妬し反対しました。そればかりでなく、夫についての邪悪な嘘まで捏造して広めました。夫を人格的に葬るために、夫の教えとは正反対に、淫乱だ、貪欲だ、との噂のくびきを夫にかけてしまいました。


一つになることは必然

 神はキリスト教を発展させ、再臨主の道を直くするために、アメリカのようなキリスト教絶対圏の国家を育成されました。彼らが悟ろうと悟るまいと、その当時韓国の牧師たちは全世界のキリスト教を代表する立場にいました。

 第二次世界大戦後、アメリカと世界のキリスト教界は夫と一体化できなかったために、アメリカはその時から没落の道をたどり、道徳的権威もすたれ始めました。

 第二次世界大戦後のアメリカとキリスト教界は、カインとアベルが一つとなった勝利的な基台の上に立っていました。再臨主を迎える時は熟していました。しかし、結果は再臨主を迎えることに失敗し、附和雷同して、全世界が夫の活動に反対するようになりました。したがって、夫は荒野に追われどん底まで追い落とされたのちに、再びはい上がってきました。

 このようにして、韓国動乱による冷戦が始まりました。第二次世界大戦の時と同様に、世界は再びカイン圏とアベル圏に分かれました。十字架上でイエス様を不信した左側の強盗と同じく、神を否定する共産主義がカイン型の世界を代表して立ちました。一方、神の実在を信じるキリスト教民主主義はイエス様の右側の強盗と同じく、アベル型の世界を代表するようになりました。

 韓国に来られる再臨主は、神のみ旨に従って、この敵対関係にある世界を一つにしなければなりません。その中心地が南北に分かれた韓半島です。そこでは、蕩減原則によって二人の父が対決しています。北側のカイン的父(金日成主席)と、南側のアベル的父(文鮮明師)とが一つとなって、神を中心として世界平和の基地を築かなければなりません。

 この二人の父の統一は、共産と民主の統一ばかりか、全世界の統一につながっています。それで国連軍の十六カ国の投入も、人類の祖国統一のためになされました。

 第二次世界大戦の時には、キリスト教を中心としたイギリスとアメリカとフランスが中心でしたが、その失敗を復帰するために、このたびは統一教会の「統一思想」によって、民主主義世界を代表して再び選抜されたエバ国日本と、アベル国アメリカと、カイン国ドイツと、自由世界が一体となって、世界的アダム国である韓半島の南北統一をなさなければなりません。

 人間始祖の堕落を償うために、母であるエバは、兄弟のカイン、アベルを再び生み直さなければなりません。それで、日本国内には戦後五十年間、韓国居留民団と朝鮮総連とを抱えております。

 それゆえエバ国家日本は、まずこれらを一つにし、次にアダム国家まで一つにし、さらにはアジア文明圏と西洋文明圏を包容して、世界平和に向かう太平洋文明圏を建設しなければなりません。私たちはまた、ユダヤ教とキリスト教を代表した立場で、イスラム教徒たちとの和解を促進してきました。

 この冷戦の間、夫は失ったメシヤを迎えるための基盤を取り戻すために、個人、家庭、氏族、国家、世界、そして天宙的な次元まで、壁を取り除くための闘いをしました。このために、夫には最小限四十年の期間が必要でした。この四十年の間に夫は、イエス様の誕生の時までの四○○○年と、創世以来の聖書歴史六○○○年を蕩減復帰したのです。

 このような蕩減をなしたのちに、カイン型国家群とアベル型国家群の和解を見るようになり、ついに冷戦の終結をもたらしました。

 この課題は、全世界一六○ヵ国が参加した一九八八年ソウル・オリンピックの時に、統一教会によって完了しました。このことが、北朝鮮と韓国が、一六○、一六一番目に国連に加入する条件となりました。

 過去数十年のことを考えれば、夫は言うに言えない無理解の中で生きてきました。北朝鮮では共産政権のもとで三年間強制収容所に捕らわれ、その後も神の仕事を続ける中、無実の罪で六回も獄中生活をしたのです。そればかりでなく、言論界は夫が「自分個人の利益のために若者たちを洗脳する悪魔のような者だ」とあざけり、悪評判を広めてきました。

 皆様の中に、「文鮮明先生こそ全世界的に、最も多くの迫害を受けた宗教指導者である」と言えば、これに異議を申し立てる人がいるでしょうか? 旧約時代と新約時代を併せて、歴史上のすべての失敗を取り戻すために、夫と私は蕩減の道を歩んできました。

 キリスト教文化を根としているアメリカを新約時代にたとえるならば、韓国は旧約時代にたとえられます。最初の二十年間夫は韓国で、イスラエルのような立場に立つ韓国と、ユダヤ教のような立場にある統一教会を中心として旧約時代の蕩減路程を歩みました。この基台の上で私たちは一九六○年、国家的次元で真の父母の聖婚式を挙げました。その後、一九七一年、私は夫と共にアメリカに渡りました。

 そして、その後二十年間、私たちはアメリカで新約時代を完成し、成約時代を出発するための蕩減路程を歩みました。その結果、私たちは神を中心とした真の愛、真の生命、真の血統の根源となる、真の父母の家庭を樹立することができました。


重要な女性の役割

 親愛なる御来賓の皆様。イエス様がメシヤの降臨に対して語られた内容に、新郎が来るのを待つ新婦たちに対するたとえがあります。黙示録では、キリスト教を新婦として説明しています。したがって、キリスト教を代表するアメリカも、新婦国家であるということができます。

 したがってアメリカは、世界統一のための基台を立てて、最終的には新郎を迎える責任を果たさなくてはなりません。これは、復帰されたアダムとエバとして、本来の男性と女性の位置が立てられ、真の男女平等圏まで行くことを意味します。

 このような復帰歴史の転換点で真の母の位置に立つ女性は、真の父を迎える基盤をつくらなければなりません。キリスト教が新郎を迎える最初の試みに失敗して以来、神の摂理は四十年延長して、一九九二年まで来ました。この期間に私は、世界的に新しい新婦基台を願って、韓国、イギリス、アメリカ、フランス、日本、ドイツ、イタリアを一つにするために祈祷しながら努力してきました。

 そして、一九九二年四月、私は夫と共に「世界平和女性連合」を創設し、全世界的に女性時代の到来を宣布しました。その基盤の上で昨年一年間、私は真の母の心情でもって、先に挙げた七カ国はもちろん、ロシアとオセアニアまで訪ね、現地の女性たちを動員して、各国に「世界平和女性連合」の支部を創設しました。

 このような業績を土台として、第二次世界大戦の時から、カイン・アベル関係に分かれていた国々が真の母を迎え、失った新婦の基台を復帰して、真の父を迎える基盤になりました。このように勝利した世界的な基盤の上で、最初の真の父母であることを宣布いたします8

 今や、世界は成約時代に突入しています。私たちはいま一度、神に侍って生きることができるようになりました。このような歴史的転換点に立った私たちは、神を中心として、個人の心と体を統一できる原理を、世界的次元で実践しなければなりません。

 このような目的を達成するために、私たちは世界平和を実現する二つの組織を創設しました。

「世界平和宗教連合」は心の世界を代表し、神の愛を基にして、世界の宗教を一つに結ぶ内的使命を帯びています。一方、「世界平和連合」は体の世界を代表しており、世界的な政界、財界、言論界、学界、科学分野の指導者たちと共に、理想世界を建設する外的使命を帯びています。

 神の前で縦的な角度から愛を説明すれば、アダムとエバは子女の愛、兄弟姉妹の愛、夫婦の愛、父母の愛という四大愛を成熟させ、神と直接関係を結んで生きるようになっています。したがって、アダムとエバは本来、真の愛を中心として、四大心情圏すなわち、完成した子女、完成した兄弟姉妹、完成した夫婦、そして完成した父母の心情圏を通過して、完成した家庭を築くべきだったのです。

 アダムとエバは、家庭のモデルとならなければなりません。子女たちは父母を理想的な手本として、侍って生きなければなりません。子女たちは父母が互いに愛し合って生きるのを見て、兄弟姉妹間の友愛を学ぶでしょう。結婚して夫婦となっても、彼らは父母の愛を見習って理想的な夫婦の愛を学ぶでしょう。やがて彼らも子供を生んで、父母が見せてくれた良い模範に倣い、もう一つの完成した家庭を築くでしょう。

 父母と子女、兄弟と姉妹、そして夫と妻が、縦的、横的両面から一つになった、理想的で確固たる家庭を築くことによって、私たちは地上はもちろん、天上にまでも、天国を建設することができます。このようにして、神を中心とした同じ祖先から生まれた全世界の家庭は、アダムとエバの家庭と同じく、神聖な価値をもつようになります。


家庭基台の完成

 紳士、淑女の皆様。成約時代の幕開けとともに、全世界的に救援歴史を完成し、またメシヤの分身となる氏族的メシヤの時代が来ました。皆様の家庭を復帰し、氏族、地域社会、国家を復帰しなければなりません。このような使命をもつ人々を、氏族的メシヤと呼びます。成約時代には、母親の役割が非常に重要です。堕落の時とは正反対に、母と子が一つになって真の父母と一体となり、夫を復帰し、祝福を受けることによって神に帰らなければなりません。

 既に私たちは、数千人の氏族的メシヤ宣教師を全世界に派遣しました。遠からず世界的な次元で理想的家庭が築かれるでしょう。それぞれの完成した家庭では、祖父母は神を代表して王と女王の位置に立ち、父母は現在の人類を代表して王と女王の立場に立ちます。そして子女は未来の子孫を代表する立場で、王子と王女の立場に立ちます。これらの三代が一つになる時、過去、現在、未来が共に和睦して生きるようになり、そこから新しい歴史的伝統が出発します。

 紳士、淑女の皆様。私はきょう、人類の最初の真の家庭の完成を皆様の前で宣布することができたことを、無上の光栄と思います。私と夫は、十三人の子供と二十人の孫と一緒に、神と人類のために絶対的な信念をもって献身しています。三代が一つの家族として共に生きながら、私たちは家庭的次元で、聖書で述べている生命の木の中心の根(祖父母)、中心の幹(父母)、そして中心の芽(子女)を確立しました。

 皆様も真の家庭の血統に象徴的に接ぎ木されて、共に理想国家と理想世界建設のために先頭に立ちましょう! これが正に、成約時代の開幕を意味します。成約時代は神に侍って生きる時代です。

 親愛なる御来賓の皆様。「世界平和女性連合」は、このような使命のために召命を受けました。第二次世界大戦後、キリスト教文化圏を代表したイギリスの失敗を復帰するため、再び選抜されたエバ国家日本は、その使命を果たすために女性は子女と夫を連れて、真の父母と一体となって、神の国に帰らなければなりません。

 私たちはみな、神と人類が歴史的に願っていた、この使命を完遂いたしましょう! すべてのキリスト教徒と、すべての宗教者たち、すべての良心的な人々も心の窓を開いて、深い心情で、このメッセージを受け入れてくださるよう、切にお願いいたします。

 私たちがみな、神のみ旨のために働き、神からの祝福を受けられる立場に立たれますことをお祈りいたします。神様の祝福が皆様と、皆様の家庭の上にありますようにお祈りいたします。どうもありがとうございました。


















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