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イエス様の歴史的な悲しみのひと日を回想させてください


お父様!
天を抱き
地に対する救援摂理のみ旨を抱き、
三十余年の生涯を生きられたイエス様が、
自分を救い主として対してくれる人、一人を見いだせず、
救い主として侍ってくれる一家族を見いだせず、
救い主として従う一民族を率いることができないまま、
恨めしい運命の日を迎えなければならなかった
歴史的な悲しみの日が思い返されるものです。

願わない時に
十字架の道を行かなければならず、
時ならぬ時に
使命を終結しなければならなかったイエス様でしたので、
語るべきこともすべて語れず、
立てた悲壮なる覚悟と
決心の行使もできないままに
恨みを残し、
また抱いて逝かれましたが、
その心情を知る者がどこにいるでしょうか?

お父様!
天を仰ぎ見るイエス様の目には、
万民に対する切ない涙がたまり、
死を前にした彼の悄然たるお姿は、
人類を身代わりした姿であったことを、
今日、私たちも
骨身に染みて分かることはできませんが、
当時の人々の中でも、
それほど凄絶なる困難にぶつかる人が、
神様の息子であることを知っていた人はいませんでした。

イエス様を知って侍るべき民族が、
むしろ彼に反対して
死の道に追い立てるために跳梁したので、
み旨を抱いてきたイエス様は、
どれほどかわいそうだったでしょうか?

天の心情に通じ、
イエス様の心情に通じるべき民族であるにもかかわらず、
むしろイエス様が民族を案じなければならず、
怨讐に引かれていくイエス様の悲しみも知らず、
怨讐の手のひらの中で戯れている、
死亡圏にいる民族を眺め、
「アバ、父よ、彼らの罪をお許しください」
と言って、祈らなければならなかったイエス様の心情を、
私たちがたどって感じられるようにしてくださいますことを、
お父様、
懇切にお願い申し上げます。

十字架と言えば、
私たちは名前だけで知っていました。
イエス様が行ったゴルゴタ山頂が、
イエス様にとっては地獄であり、
死の刑場であったことが
私たちには分かりませんでした。
ですので、
今から私たちが十字架を考えるときには、
イエス様の体が裂かれる痛みより、
四千年間積もってきた神様の恨みの心情が
裂かれる悲しみが、どれほど大きかったかを知るようにしてください。
イエス様が十字架上で
肉を裂かれ血を流したことが悲しいのではなく、
心情を絞り出さなければならなかったことが
もっと悲しかったことを、知り得る
私たちとなるようにしてください。

きょうここに集まった群れの中に、
真なるあなたの息子・娘がいるでしょうか?
イエス様の流した血を無視し、
天の福を受けることを願うものがいるでしょうか?
イエス様の心情に倣って、
天のみ旨に対そうとする者がいるでしょうか?

泣いて、泣いて、また泣いても
恨みの解けない悲しみのひと日を憶え、
イエス様の死に対して、果てしもなく痛哭することのできる
群れとならせてください。
主のみ名によってお祈り申し上げました。アーメン。

(一九五九・六・二一)


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